相続手続きは司法書士に依頼しよう!司法書士に相談するメリットや費用相場
相続手続きは、被相続人の財産や権利、義務を相続人に移すための手続きです。戸籍謄本や住民票などの書類を集めたり、役所や金融機関に手続きに行ったりと、煩雑で時間のかかる作業が多数発生します。
また遺産分割協議など、相続人間で話し合いが必要となる場面も多く、円滑に進めるためには専門的な知識や経験が必要となります。
そこで今回は、相続手続きを司法書士に依頼するメリットや費用相場、司法書士の選び方について詳しく解説します。
相続手続きを司法書士に相談すべき理由5選
司法書士は相続に関する法律の専門家であり、以下のような様々なサポートをしてくれます。
- 相続に関する法律の専門家である
- 不動産登記のエキスパートである
- 相続に強い専門家とのつながりがある
- 未成年者や行方不明者、認知症の人が相続人の中にいた場合の手続きをサポートしてくれる
- 相続放棄に対応してもらえる
具体的にどのようなサポートを受けられるのか詳しく解説していきます。
相続に関する法律の専門家である
相続に関する法律は、専門知識がないと理解するのが難しい内容が多く含まれています。遺言書の作成、遺産分割協議、相続登記など、それぞれのステップで必要な手続きや注意点が異なってきます。
司法書士は、相続に関する法律を熟知しており、状況に合った最適なアドバイスを提供してくれます。また、必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家を紹介してもらうことも可能です。
不動産登記のエキスパートである
相続手続きにおいて、不動産の名義変更は重要な手続きの一つです。しかし、不動産登記は複雑な手続きであり、必要書類も多くミスをしてしまうと登記簿に誤った情報が記載されてしまう可能性があります。
司法書士は、不動産登記のエキスパートであり、スムーズかつ正確に名義変更を行うことができます。また、相続した不動産を売却する場合も、司法書士に相談することで、トラブルを予防することができます。
相続に強い専門家とのつながりがある
司法書士は、相続手続きを他の士業と連携して行うことも多い為、相続に強い専門家のネットワークを持っていることが多いです。必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家を紹介してもらうことも可能です。
例えば、遺産分割協議で揉めてしまった場合、弁護士に相談して解決する方法もあります。また、相続税に関する問題が発生した場合は、税理士に相談することができます。
未成年者や行方不明者、認知症の人が相続人の中にいた場合の手続きをサポートしてくれる
未成年者、行方不明者、認知症の方が相続人になった場合、相続手続きはさらに複雑になります。例えば、未成年者を含む相続人数名で遺産分割協議が必要な場合は、家庭裁判所に手続きを申し立てて、特別代理人を選任する必要があります。
司法書士は、これらのケースにおける手続きにも精通しており、必要なサポートを行うことができます。
相続放棄に対応してもらえる
相続人が相続を希望しない場合、家庭裁判所で相続放棄の申述を行うことができます。相続放棄の申述は相続開始後3ヶ月以内に行わなければならず、正確な手続きが必要です。
司法書士は、相続放棄の申述に必要な書類作成や手続きをサポートしてくれます。
司法書士以外の相続専門家の役割
司法書士以外の相続専門家には以下のような人たちがいます。
- 弁護士
- 行政書士
- 税理士
それぞれ専門分野が異なるため、自分に合った専門家に相談することが重要です。
弁護士
弁護士は、相続に関する法律問題全般に対応できる専門家です。具体的には、以下のような業務を扱っています。
- 遺産分割協議がこじれた場合の調停・代理
- 相続人間で争いが発生した場合の訴訟
- 遺言書に関する訴訟
遺産分割協議がまとまらない、相続人間で争いが起きている、遺言書の有効性が争われているなどの場合に、弁護士に相談することを検討しましょう。
行政書士
行政書士は、遺産分割協議書の作成、相続財産の調査、遺言書の作成などを扱えます。具体的には、以下のような業務を扱っています。
- 遺産分割協議書の作成
- 相続財産調査
- 遺言書の作成
その他、自動車の名義変更を依頼する場合にも、行政書士に相談すると良いと思います。
税理士
税理士は、相続税の申告や計算、節税対策など、税金に関する業務を専門としています。具体的には、以下のような業務を扱っています。
- 相続税の申告・納税
- 相続税の計算
- 相続税対策
- 贈与税の申告・納税
相続財産の価額が、基礎控除の額以上になりそうな場合や、生前に節税対策を検討したい場合は、税理士に相談することを検討しましょう。
相続手続きを司法書士に依頼するメリット
相続手続きを司法書士に依頼するメリットは、大きく3つあります。
- 中立を守って手続きしてくれる
- 迅速且つ確実に進めてくれる
- 手続きが原因で相続人同士がもめる心配がない
それぞれ詳しく解説していきます。
中立を守って手続きしてくれる
司法書士は、特定の相続人の代理人として交渉やアドバイスを行うことはできません。相続人全員に対して中立的に業務を行い、相続人全員の疑問や不安に応える必要があります。また、円滑に相続手続きが進むようなアドバイスも行います。
迅速且つ確実に進めてくれる
相続手続きには、役所への何度も足を運ぶ必要があるなど、多くの時間と労力がかかります。しかし、司法書士に依頼すれば、これらの手続きをすべて代行してもらうことができます。
また司法書士に依頼することで、時間短縮だけでなく手続き漏れやミスを防ぐこともできます。
手続きが原因で相続人同士がもめる心配がない
専門家に依頼しない場合、相続人全員が協力して相続手続きを行うものですが、実際には誰か一人が代表者として役所や金融機関に出向くことが多いです。一部の相続人が手続きの負担を負い、不満が生じることがあります。これが紛争のきっかけになるケースもあります。
司法書士に依頼することで専門家が手続きを進めてくれるため、相続人同士がもめる心配が軽減されます。また、相続人全員に対して中立的な立場からアドバイスを行うため、円滑に手続きを進めることができます。
相続手続きを司法書士に依頼するデメリット
相続手続きを司法書士に依頼するデメリットは、2つあります。
- 相続争いには対応できない
- 相続税の対応はできない
司法書士は、相続に関する専門知識と経験を持つ専門家であり、依頼することには多くのメリットがあります。しかし、司法書士に依頼する前に、2つの注意点を理解しておくことが重要です。
相続争いには対応できない
相続人同士で遺産分割協議がまとまらず争いが発生している場合、司法書士は代理人として介入することはできません。これは、弁護士法の規定に基づいています。
相続争いが発生した場合は裁判所に訴訟を提起するなど、より専門的な法律知識が必要となるため、弁護士に相談することが適切です。
相続税の対応はできない
相続税の申告や計算は、税理士の専門分野となります。相続手続きと合わせて相続税の申告も依頼したい場合は、司法書士と税理士の両方に依頼する必要があります。
司法書士は、相続税に関する基礎的な知識は持っていますが、税務申告書の作成や税務調査への対応など、専門的な業務を行うことはできません。
相続税は、高額な税金となる場合が多く、誤った申告をしてしまうと、追徴課税を受けるリスクがあります。そのため、相続税に関することは、必ず税理士に相談するようにしましょう。
依頼する司法書士の選び方
司法書士に依頼する際には、以下のポイントに注意して選びましょう。
- 費用が明確か
- 必要な手続きに対応できるか
- 相談しやすそうか
相続は人生における大きな転換期であり、その手続きは複雑で、専門的な知識を必要とします。そのため、司法書士に依頼する場合は慎重に選びましょう。
費用が明確か
司法書士に依頼する際の費用は、人によって大きく異なり、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
報酬は司法書士の業務内容や経験、そして相続財産の規模によって変動します。一般的には、遺産の総額が多いほど手続きが複雑になるため、費用も高額になる傾向があります。
実費は、戸籍謄本などの書類取得にかかる費用や交通費、郵送費などの経費を指します。
司法書士を選ぶ際には、これらの費用について、最初の段階で明確に説明してくれる事務所を選びましょう。また、見積もりを複数取って比較検討することもおすすめです。
必要な手続きに対応できるか
司法書士の業務は多岐にわたりますが、相続手続きに特化している事務所を選ぶことをおすすめします。
相続手続きは、法律知識はもちろん、実務経験も必要となる専門性の高い分野です。過去の相続手続きの実績や、具体的な解決事例などをホームページやパンフレットで公開している事務所は、専門性が高いと言えるでしょう。
また、相続に関するセミナーや研修会に参加しているか、専門誌に記事を執筆しているかなども、その司法書士の専門性の目安となります。
相談しやすそうか
相続手続きは、故人の財産に関するだけでなく、家族間の関係や感情も複雑に絡み合うことがあります。そのため、相談しやすい雰囲気で、気軽に質問できるような司法書士を選ぶことが大切です。
初回相談を無料で行っている事務所も多いので、実際に会って話し、相性を確かめることをおすすめします。
司法書士に相続手続きを依頼した場合の費用相場
司法書士に相続手続きを依頼する際の費用相場は、以下の要素によって変動します。
- 相続人の数:相続人が多いほど、遺産分割協議などが複雑になり、費用も高額になる傾向があります。
- 手続きの種類:相続登記、相続放棄、遺産分割協議など、依頼する手続きによって費用が異なります。
- 相続開始直後かどうか:相続開始から年数が経過していると手続きが複雑になり費用も高くなる傾向にあります。
以下の表は、一般的な相続登記の費用相場の目安です。
法定相続人3人のうち、遺産分割協議によりAさんが土地と建物(固定資産評価額 合計1000万円)を相続した場合
項目 | 司法書士報酬 | 登録免許税等の実費 |
---|---|---|
相続による所有権移転 | 50,000円 | 40,000円 |
遺産分割協議書作成 | 10,000円 | 0円 |
戸籍等の取得 | 10,000円 | 3,000円 |
事前調査 | 2,000円 | 662円 |
登記事項証明書取得 | 2,000円 | 1,000円 |
郵送料 | 2,000円 | |
合計 | 118,662円(税別) |
上記はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は、案件の難易度や依頼する内容によって変動します。
まとめ
相続手続きは、煩雑で時間のかかる作業が多数発生するため、専門家に依頼することをおすすめします。司法書士は、相続に関する法律の専門家であり、迅速かつ確実に手続きを進めてくれます。また、相続人同士のトラブルを避けるために、中立的な立場からアドバイスを行うこともできます。
ルフレ司法書士事務所では、相続登記をはじめ、相続放棄、遺産分割協議など、相続に関する様々な業務を扱っております。司法書士が、迅速丁寧にお客様の状況に合わせた最適なサポートを提供いたします。また、ご希望に応じて相続に強い弁護士さんや相続税の申告専門の税理士さんを紹介しております。
相続手続きでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。