会社継続の登記完全ガイド!手続きの流れ・必要書類・費用まで徹底解説
一定の条件はありますが、解散した会社であっても、会社を復活させることができます。この復活させるために行う登記が、会社継続の登記です。
本記事では、会社継続登記の具体的な手続きの流れ、必要書類、費用まで、網羅的に解説します。手続きのステップごとの注意点についても詳しく説明しています。会社継続の登記に関する疑問が解消し、安心して手続きを進めることができるように、記載していますので、是非ご覧ください。
会社継続とは?登記が必要な理由
法人の解散事由はいくつかありますが、例えば、みなし解散の対象となった株式会社・一般社団法人・一般財団法人のうち、一定期間内に登記の申請又は、まだ事業を廃止していない旨の届出のいずれもしない場合、解散したものとみなされ、管轄登記所の登記官により職権で解散の登記がされます。
このみなし解散の登記がされた後に、会社を復活させ事業を再開したいときに必要なのが、会社継続の登記です。
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会社継続の登記ができる要件
解散した法人でも、清算結了する前であれば、下記の解散事由のうち、アンダーラインが引かれている事由に該当する場合に、会社継続の登記をすることができます。
例えば、株式会社であれば、①定款により定めた存続期間の満了、②定款により定めた解散事由の発生、③株主総会の決議、④みなし解散のときに、会社継続の登記をすることができます。
株式会社 | 持分会社(合同会社・合名会社・合資会社) | 一般社団法人 | 一般財団法人 |
---|---|---|---|
定款により定めた存続期間の満了 | 定款により定めた存続期間の満了 | 定款により定めた存続期間の満了 | 定款により定めた存続期間の満了 |
定款により定めた解散事由の発生 | 定款により定めた解散事由の発生 | 定款により定めた解散事由の発生 | 定款により定めた解散事由の発生 |
合併により会社が消滅する場合 | 合併により会社が消滅する場合 | 合併により法人が消滅する場合 | 合併により法人が消滅する場合 |
破産手続開始の決定 | 破産手続開始の決定 | 破産手続開始の決定 | 破産手続開始の決定 |
裁判所による解散命令 | 裁判所による解散命令 | 裁判所による解散命令 | 裁判所による解散命令 |
株主総会の決議 | 総社員の同意 | 社員総会の決議 | 事業の成功の不能 |
みなし解散(解散から3年以内に限る) | 社員が欠けたこと | みなし解散(解散から3年以内に限る) | みなし解散(解散から3年以内に限る) |
社員が欠けたこと | 2期連続で純資産額が300万円未満になったこと |
会社継続の登記手続きの流れ
会社継続の登記手続きは、下記のような流れになります。
株主総会等による決議(会社継続・役員の選任・清算人の選任)
⇩
登記申請(会社継続・役員の選任・清算人の選任)※会社継続登記の前提として、清算人の選任登記が必要ですが、同時申請でも問題ありません。
※みなし解散以外で会社継続する場合は、清算人の選任と登記は既にされているため、必要ありません。
株主総会等による決議
会社継続をするためには、法人の種類に応じた機関で決議する必要があります。具体的には、株式会社であれば株主総会の特別決議、持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)は総社員の同意、一般社団法人は社員総会の決議、一般財団法人は評議員会の決議が必要です。
法人の種類 | 決議機関 |
---|---|
株式会社 | 株主総会 |
持分会社(合同会社・合名会社・合資会社) | 総社員の同意 |
一般社団法人 | 社員総会 |
一般財団法人 | 評議員会 |
登記申請
株主総会等による決議から2週間以内に、登記申請(会社継続・役員の選任)をする必要があります。みなし解散の登記がされている場合は、会社継続と役員の選任の登記をする前提として、清算人の選任の登記も必要になりますが、会社継続、役員の選任の登記と同時でも問題ありません。また、取締役会があれば取締役会の登記も必要になりますし。その他にも解散前の登記簿と見比べるなどをして、登記漏れが無いか確認が必要です。
会社継続の登記手続き
ここでは、会社継続の登記申請に必要な書類と、登記申請の流れについて詳しく解説します。
登記申請の必要書類
株式会社の会社継続の登記申請の、主な必要書類は下記になります。
書類名 | 内容 |
---|---|
登記申請書 | 法務局へ提出する申請書で、フォーマットは法務局のホームページからダウンロードできます |
定款 | 清算人の登記をする場合に必要 |
株主総会議事録 | 会社継続、役員の選任、清算人の選任(※清算人の登記をする場合)を決議する |
株主リスト | |
取締役会議事録 | 取締役会設置会社の場合に必要 |
就任承諾書 | |
印鑑証明書 | |
本人確認証明書 | 印鑑証明書を添付しない取締役および監査役については必要 |
委任状 | 司法書士に登記手続きを委任する場合に必要 |
申請方法
作成した申請書と必要書類を、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出します。申請は、登記・供託オンライン申請システムを使用してオンラインで申請するか、紙の申請書を会社の所在地を管轄する法務局に提出します。紙の申請書の場合、郵送(実務上レターパックを使用することが多いです。添付書面の原本還付を希望する場合、その分のレターパックも同封します)での申請も可能ですが、窓口で直接申請することもできます。電子申請の場合は、マイナンバーカードに格納されている電子証明書等が必要になります。
各申請方法にはメリット・デメリットがありますので、会社の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。登記手続きに慣れている場合は、オンラインで電子申請して、必要に応じて添付書面のみを郵送で送るのが楽だと思いますが、初めて手続きをする方は、紙で申請書を作成して、窓口に提出するか、郵送で送った方が難易度は低いです。
それぞれの手順やメリット・デメリットを詳しく解説します。
申請書による申請
従来から行われている紙の申請書による申請方法です。必要書類を揃えて、管轄の法務局へ直接持参するか、郵送で提出します。
申請の手順
- 必要書類を作成および収集し、印刷する
- 登録免許税を収入印紙で納付する(収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼ります)
- 法務局へ持参または郵送で提出する
- 登記完了
紙による申請のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
インターネット環境が不要 | 法務局へ行く必要がある、または郵送の手間がかかる |
はじめて登記申請をする人にはオンラインよりも難易度が低め | 書類の不備があった場合、補正で法務局まで出向く必要がある。 |
電子申請
インターネットを利用して、登記・供託オンライン申請システムで申請を行う方法です。法務局へ行く必要がなく、月曜日から金曜日までの8時30分から21時まで(国民の祝日・休日、12月29日から1月3日までの年末年始を除く。)いつでも手続きが可能です。電子署名が必要となります。
電子申請の手順
- 電子証明書の取得(マイナンバーカードを使う場合は取得不要)
- 申請書類の作成(登記・供託オンライン申請システムで作成する)
- 電子申請
- 添付書面を郵送で法務局に送る
- 登録免許税のオンライン納付又は収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼って添付書面と一緒に郵便で送る
- 登記完了
電子申請に必要なもの
- パソコン
- インターネット環境
- 電子証明書
- PDF作成ソフト
- ICカードリーダー
電子申請のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
平日8時30分から21時までの時間いつでも申請可能 | インターネット環境と電子証明書が必要 |
法務局へ行く必要がない | 電子申請システムの操作に慣れが必要 |
申請方法の選択
時間や手間をなるべく省きたい場合は電子申請、手続きに慣れていない又はインターネット環境がない場合は紙の申請書による申請がおすすめです。
申請先
商号変更登記の申請は「会社の本店所在地を管轄する法務局」に対して行います。管轄法務局を調べるには、法務局のホームページを参照するか、「会社 登記管轄 ○○」のように、本店所在地を入れてインターネットで検索すると良いと思います。不動産登記と会社の登記では管轄が違う場合があります。申請先を間違えると、申請が却下されますので、注意が必要です。
登記完了
登記完了までの期間は、法務局の混雑状況にもよりますが、通常1週間から2週間程度です。通常より早く完了する場合もあります。
不動産登記と違い、法務局の手続きが完了しても登記を完了したことを証明する登記完了証や登記識別情報のような権利証は発行されません。
変更後の登記内容を確認したい場合は、別途、登記簿謄本(登記事項証明書)を窓口又は登記・供託オンライン申請システムで請求するか、登記情報提供サービスで確認します。費用は登記簿謄本の場合、480円(郵送で送ってもらう場合は500円)、登記情報サービスで閲覧する場合、331円です。
会社継続の登記費用
会社継続の登記費用の内訳をご説明します。
登録免許税
会社継続の登記にかかる登録免許税は、最低4万円(内訳:会社継続3万円、役員1万円(1億円以下の会社の場合))で、会社の機関設計によって変わります。例えば取締役会がある会社の場合は、+3万円で7万円、取締役会と監査役の設置会社の場合は、+6万円で10万円かかります。
司法書士に依頼した場合の費用相場
会社継続の登記費用は、同時に申請する内容によって変動します。登録免許税も会社の機関設計によって変わりますので、事前に司法書士に費用の見積もりを依頼し、内容を確認しておくことが大切です。
費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
---|---|---|
登録免許税 | 最低4万(清算人の選任登記もする場合+9000円、取締役会設置会社の場合+3万円、監査役設置会社の場合+3万円) | 4万円の内訳:会社継続3万円、役員1万円(1億円以下の会社の場合) |
司法書士報酬 | 司法書士報酬:5万円~10万円 | 手続きの依頼内容によって変動します。 |
郵送費、交通費等 | 数千円~ | 必要に応じて発生します。 |
まとめ
この記事では、解散した会社を復活させ、再び事業を行うために必要な会社継続の登記について、手続きの流れ、必要書類、費用などを詳しく解説しました。
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