会社の清算結了の登記手続きをスムーズに!必要書類・費用など、手続きの流れを分かりやすく解説
![](https://reflet-office.com/wp-content/uploads/2024/12/3996270_m-1024x683.jpg)
会社を解散して消滅させるには、いくつかの登記手続きが必要ですが、清算結了の登記は、一番最後にする手続きになります。
この記事では、清算結了の登記手続きの必要書類、費用、手続きの流れまで、具体例を交えながら分かりやすく解説します。スムーズな手続き完了のために必要な情報を網羅しています。この記事を読むことで、清算結了登記の全体像を把握し、手続きを滞りなく進めるための準備を万全にすることができます。司法書士への依頼を検討している方も、ご自身で手続きを行う方も、ぜひ参考にしてください。最終的には、時間とコストの削減に繋がり、安心して解散手続きを終えることができるでしょう。
清算結了とは
会社が解散した後、清算手続きがすべて完了した状態を「清算結了」といいます。例えば、株主総会決議によって解散する場合、会社は解散決議によって直ちに消滅するのではなく、解散の登記をした後も、清算手続きを行うために、存続するものとされています。そのため、会社を消滅させるには、清算手続きがすべて完了し、清算結了させる必要があります。
清算結了の登記手続きの流れ
解散に関わる登記手続きの中で、一番最後にするのが清算結了の登記です。例えば株主総会決議により会社を解散してから清算結了の登記をするまで、下記のような流れになります。
株主総会による解散および清算人の選任の決議
⇩
登記申請(解散および清算人の選任の登記)
⇩
債権者保護手続き(官報公告・知れてる債権者への個別催告)
⇩
清算手続き(債権者への弁済、残余財産の株主への分配など)
⇩
決算報告(株主総会への決算報告)
⇩
登記申請(清算結了の登記)
【関連記事】
会社の解散については、こちらの記事をご覧ください。「もう迷わない!会社の解散をスムーズに進めるための登記手続きとポイント」
次に各ステップを説明します。
株主総会による解散および清算人の選任の決議
会社解散の最初のステップは、株主総会での解散決議です。定款に清算人についての定めがなければ、解散決議の際に、清算人を選任します。
登記申請(解散および清算人の選任の登記)
解散決議後、2週間以内に解散と清算人の選任の登記申請を行う必要があり、通常は同時に申請します。なお、監査役設置会社の場合は、監査役の退任と監査役設置会社の定めの廃止の申請も必要になります。申請に必要な書類を揃え、法務局へ提出します。
債権者保護手続き(官報公告・知れてる債権者への個別催告)
清算事務を進める中で、債権者に対しては、官報に公告を出して債権の申出を促すとともに、既知の債権者には個別に催告を行います。これは、債権者に対して解散を周知させ、権利行使の機会を与えるための重要な手続きです。公告期間は最低でも2ヶ月間必要です。債権者への対応が完了していないと、清算結了登記は認められません。
清算手続き(債権者への弁済、残余財産の株主への分配など)
清算結了登記を行うためには、会社のすべての清算事務を完了させる必要があります。具体的には、会社の資産を売却し、債務を弁済し、残余財産を株主に分配するといった手続きです。これらの手続きが完了した時点で、清算結了登記の準備が整います。
債権者への弁済が完了した後、残余財産がある場合は、定款で定められた方法に従って株主に分配します。
決算報告(株主総会への決算報告)
清算人は清算完了後、決算報告を作成し、株主総会の承認を受けなければなりません。
登記申請(清算結了の登記)
清算手続きが完了したら、2週間以内に清算結了登記を申請します。最短でも官報公告の翌日から2か月経過後の日付でないと登記申請できません。
清算結了の登記手続き
必要書類
株式会社、持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)、一般社団法人、一般財団法人の必要書類は下記の通りです。
株式会社
書類名 | 内容 |
---|---|
登記申請書 | 法務局へ提出する申請書で、フォーマットは法務局のホームページからダウンロードできます |
株主総会議事録 | |
株主リスト | |
委任状 | 司法書士に登記手続きを委任する場合 |
持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)
書類名 | 内容 |
---|---|
登記申請書 | 法務局へ提出する申請書で、フォーマットは法務局のホームページからダウンロードできます |
清算結了承認書 | |
委任状 | 司法書士に登記手続きを委任する場合 |
一般社団法人
書類名 | 内容 |
---|---|
登記申請書 | 法務局へ提出する申請書で、フォーマットは法務局のホームページからダウンロードできます |
社員総会議事録 | |
委任状 | 司法書士に登記手続きを委任する場合 |
一般財団法人
書類名 | 内容 |
---|---|
登記申請書 | 法務局へ提出する申請書で、フォーマットは法務局のホームページからダウンロードできます |
評議員会議事録 | |
委任状 | 司法書士に登記手続きを委任する場合 |
申請方法
作成した申請書と必要書類を、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出します。申請は、登記・供託オンライン申請システムを使用してオンラインで申請するか、紙の申請書を会社の所在地を管轄する法務局に提出します。紙の申請書の場合、郵送(実務上レターパックを使用することが多いです。添付書面の原本還付を希望する場合、その分のレターパックも同封します)での申請も可能ですが、窓口で直接申請することもできます。電子申請の場合は、マイナンバーカードに格納されている電子証明書等が必要になります。
各申請方法にはメリット・デメリットがありますので、会社の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。登記手続きに慣れている場合は、オンラインで電子申請して、必要に応じて添付書面のみを郵送で送るのが楽だと思いますが、初めて手続きをする方は、紙で申請書を作成して、窓口に提出するか、郵送で送った方が難易度は低いです。
それぞれの手順やメリット・デメリットを詳しく解説します。
申請書による申請
従来から行われている紙の申請書による申請方法です。必要書類を揃えて、管轄の法務局へ直接持参するか、郵送で提出します。
申請の手順
- 必要書類を作成および収集し、印刷する
- 登録免許税を収入印紙で納付する(収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼ります)
- 法務局へ持参または郵送で提出する
- 登記完了
紙による申請のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
インターネット環境が不要 | 法務局へ行く必要がある、または郵送の手間がかかる |
はじめて登記申請をする人にはオンラインよりも難易度が低め | 書類の不備があった場合、補正で法務局まで出向く必要がある。 |
電子申請
インターネットを利用して、登記・供託オンライン申請システムで申請を行う方法です。法務局へ行く必要がなく、月曜日から金曜日までの8時30分から21時まで(国民の祝日・休日、12月29日から1月3日までの年末年始を除く。)いつでも手続きが可能です。電子署名が必要となります。
電子申請の手順
- 電子証明書の取得(マイナンバーカードを使う場合は取得不要)
- 申請書類の作成(登記・供託オンライン申請システムで作成する)
- 電子申請
- 添付書面を郵送で法務局に送る
- 登録免許税のオンライン納付又は収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼って添付書面と一緒に郵便で送る
- 登記完了
電子申請に必要なもの
- パソコン
- インターネット環境
- 電子証明書
- PDF作成ソフト
- ICカードリーダー
電子申請のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
平日8時30分から21時までの時間いつでも申請可能 | インターネット環境と電子証明書が必要 |
法務局へ行く必要がない | 電子申請システムの操作に慣れが必要 |
申請方法の選択
時間や手間をなるべく省きたい場合は電子申請、手続きに慣れていない又はインターネット環境がない場合は紙の申請書による申請がおすすめです。
申請先
申請は「会社の本店所在地を管轄する法務局」に対して行います。管轄法務局を調べるには、法務局のホームページを参照するか、「会社 登記管轄 ○○」のように、本店所在地を入れてインターネットで検索すると良いと思います。不動産登記と会社の登記では管轄が違う場合があります。申請先を間違えると、申請が却下されますので、注意が必要です。
登記完了
登記完了までの期間は、法務局の混雑状況にもよりますが、通常1週間から2週間程度です。通常より早く完了する場合もあります。
不動産登記と違い、法務局の手続きが完了しても登記を完了したことを証明する登記完了証や登記識別情報のような権利証は発行されません。
変更後の登記内容を確認したい場合は、別途、登記簿謄本(登記事項証明書)を窓口又は登記・供託オンライン申請システムで請求するか、登記情報提供サービスで確認します。費用は登記簿謄本の場合、480円(郵送で送ってもらう場合は500円)、登記情報サービスで閲覧する場合、331円です。
清算結了の登記費用
清算手続きが完了したら、2週間以内に清算結了の登記を申請します。この登記費用について説明します。
登録免許税
清算人の選任登記にかかる登録免許税は、2000円です。これは株式会社、合同会社等の持分会社、一般社団法人、一般財団法人など一律の金額です。
司法書士に依頼した場合の費用相場
清算結了の登記は、ご自身で行うこともできますが、解散に関係する登記全て(解散・清算人の選任・清算結了)を、まとめて司法書士に依頼することが一般的です。解散に関係する登記全てを司法書士に依頼した場合の報酬相場は8万円~です。登録免許税や司法書士報酬の他に、官報公告の費用や、郵送費がかかります。
司法書士への報酬は、事案の難易度や作業量によっても変動します。登録免許税も会社の機関設計によって変わりますので、事前に司法書士に費用の見積もりを依頼し、内容を確認しておくことが大切です。
費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
---|---|---|
登録免許税 | 最低4万1000円(監査役設置会社の場合は、8万1000円or10万1000円) ※株式会社・合同会社で金額に違いはありません。 | 内訳:解散(3万円)、清算人の選任(9000円)、清算結了(2000円)、監査役の退任(1万円or3万円)、監査役設置会社の定め廃止(3万円) |
官報公告料 | 4万円前後 | 詳しくはこちらをご覧ください。 |
司法書士報酬 | 司法書士報酬:8万円~ | 手続きの依頼内容によって変動します。 |
郵送費、交通費等 | 数千円~ | 必要に応じて発生します。 |
合計 | 16万1000円~ |
まとめ
この記事では、会社の清算結了の登記手続きについて、その流れや必要書類、費用などを詳しく解説しました。清算結了とは、会社の財産整理が完了し、法人格が消滅する最終段階を指します。債権者への債務弁済や残余財産の分配など、全ての清算事務が完了した状態です。清算結了の登記は、法的に会社の存在を抹消するために必要不可欠な手続きです。
ルフレ司法書士事務所では、設立登記をはじめ、役員変更など、会社の登記に関する様々な業務を扱っております。司法書士が、迅速丁寧にお客様の状況に合わせた最適なサポートを提供いたします。
全国対応してますので、会社の手続きでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。