マンションを生前贈与すると税金はいくら?相続と比べた金額差を札幌の司法書士が計算例で解説

「元気なうちにマンションを子どもの名義にしておきたい。税金はどれくらいかかりますか?」
生前贈与のご相談で、最初に必ず聞かれる質問です。結論から申し上げると、マンションの生前贈与には3種類の税金がかかり、「相続まで待った場合」と比べて総額で50万円以上高くなるケースが少なくありません。
「贈与税が0円になる制度(相続時精算課税)があると聞いたので大丈夫」と思われている方も多いのですが、贈与税以外の2つの税金は0円にできません。この記事では、固定資産税評価額1,500万円のマンションを例に、実際の金額を計算してお見せします。
生前贈与にかかる3つの税金
| 税金 | 税率のめやす | 相続の場合 |
|---|---|---|
| ① 贈与税 | 後述(制度により大きく変わる) | かからない(相続税の対象) |
| ② 不動産取得税 | 建物3%・宅地は評価額×1/2×3% | かからない |
| ③ 登録免許税 | 固定資産評価額の2% | 0.4%(贈与の5分の1) |
ポイントは②と③です。不動産取得税は相続なら非課税、登録免許税は相続なら税率が5分の1。この2つの差は、どの制度を使っても消せません。
計算例:評価額1,500万円のマンションを子に贈与すると
札幌市内のマンション(固定資産税評価額:専有部分500万円+敷地権1,000万円=計1,500万円)を、父から成人の子へ贈与するケースで計算します。
① 贈与税
贈与税は固定資産税評価額ではなく「相続税評価額」で計算します。マンションの場合、建物は固定資産税評価額のまま、敷地権(土地)はおおむね固定資産税評価額÷0.7×0.8で概算でき、この例では約1,640万円です。
| 課税方式 | 贈与税額 |
|---|---|
| 暦年課税(一般税率) | 約516万円 |
| 暦年課税(特例税率:親→18歳以上の子) | 約425万円 |
| 相続時精算課税(特別控除2,500万円以内) | 0円 |
暦年課税では数百万円という現実的でない金額になるため、不動産の生前贈与では相続時精算課税を選ぶのが一般的です。ただしこの「0円」には後述の注意点があります。
② 不動産取得税
- 専有部分(住宅): 500万円 × 3% = 15万円
- 敷地権(宅地): 1,000万円 × 1/2 × 3% = 15万円
- 合計 約30万円(取得から数か月後に納税通知書が届きます)
③ 登録免許税
- 1,500万円 × 2% = 30万円(名義変更の登記時に納めます)
合計と、相続の場合との比較
| 生前贈与(精算課税) | 相続まで待つ | |
|---|---|---|
| 贈与税 | 0円 | — |
| 不動産取得税 | 約30万円 | 0円 |
| 登録免許税 | 約30万円 | 約6万円(0.4%) |
| 税負担の合計 | 約60万円 | 約6万円 |
差額は約54万円。「贈与税0円」でも、トータルではこれだけの差が生まれます。
相続時精算課税の3つの注意点
贈与税0円のからくりである相続時精算課税には、知っておくべき注意点があります。
- 税務署への届出が必要です(贈与の翌年2〜3月の申告期に)。一度選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税(年110万円の非課税枠の使い方)に戻れません。
- 「非課税」ではなく「先送り」です。贈与した財産は相続のときに相続財産へ持ち戻して相続税を計算します。ただし持ち戻す金額は贈与時の評価額で固定されるため、値上がりが見込まれる物件では有利に働くこともあります。
- 小規模宅地等の特例が使えなくなります。相続なら自宅の敷地は最大8割減で評価できる特例がありますが、生前贈与した宅地は対象外です。ご自宅の贈与では、これが最大のデメリットになることが多いです。
それでも生前贈与を選ぶ理由があるケース
ここまで読むと「贈与は損」に見えますが、金額差を払ってでも生前贈与が合理的なケースはあります。
- 確実に特定の人へ渡したい(相続人同士の争いが心配・遺言だけでは不安)
- 値上がりが確実な物件(精算課税なら贈与時の価額で固定される)
- 収益物件の家賃収入を早めに子へ移したい
一方、「親が認知症になる前に名義を移しておきたい」という認知症対策が目的なら、贈与ではなく家族信託という選択肢もあります。税負担ゼロ(不動産取得税・贈与税なし)で財産管理を子に任せられる制度で、目的によってはこちらが適しています。
まずは「数字を見てから」決めてください
生前贈与か、相続まで待つか、家族信託か——正解はご家庭の事情によって変わります。当事務所では、登記費用(登録免許税)のお見積りとあわせて、贈与・相続それぞれの手続きと費用の全体像をご説明しています。贈与税や相続税の具体的な試算が必要な場合は、提携する税理士をご紹介し、連携してサポートします。
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※本記事の税額は令和8年時点の税制に基づく概算です。個別の事情により金額は変わります。
